矯正後のリテーナーについて使い方や正しい装着を解説します もし使わないとどうなる!?
こんにちは。
中目黒南口改札より徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です。
今回は矯正を終えられた患者様もしくはこれから始められる方にむけてのコラムになります。
矯正治療を長期間にわたって受け、理想的な歯並びを手に入れた後、次に大切なのは、その美しい歯並びを維持することです。保定期間中に、どれだけリテーナーをきちんと装着できるかが、その鍵となります。
矯正器具が外れて自由を感じたのも束の間、リテーナーの装着を忘れてしまう方や、治療が終わったからと油断してしまう方が少なくありません。しかし、リテーナーの装着を怠ると、歯が徐々に元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きてしまいます。これは、患者様が気づかないうちに進行することが多く、せっかくの矯正成果が無駄になりかねません。
では、もしリテーナーの装着を忘れてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?また、正しいリテーナーの使用法についても改めて確認しておくことが大切です。
そこで今回は、リテーナーの装着を忘れてしまったときの対処法や、正しい装着のポイントについて解説していきます。これから矯正治療がはじまる方や矯正治療が終わって保定期間に入っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
まずリテーナーとは
リテーナーは、矯正治療で歯の移動が完了した後、歯並びを安定させるために保定期間中に装着する装置です。リテーナーには、歯に固定して取り外しができないタイプと、自分で着脱が可能なタイプがあります。患者さんの元々の歯並びやライフスタイルに合わせて、適切なものを選んで装着します。
固定式リテーナー
固定式のリテーナーは、歯の裏側にワイヤーを取り付けるタイプで、外見上ほとんど目立ちません。また、自分で着脱する必要がないため、リテーナーを装着し忘れてしまう心配がありません。着脱が面倒に感じる方や、リテーナーの装着を忘れがちな方には、このタイプが適しています。しかし、固定式リテーナーは取り外しができないため、装置周辺に汚れが溜まりやすく、適切な歯磨きができないと虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。固定式リテーナーを装着している場合は、定期的にクリーニングを行い、口内の衛生を保つことが重要です。
取り外し可能なリテーナー
取り外し可能なリテーナーには、マウスピース型とプレート型の2種類があります。マウスピース型はプラスチック製、プレート型は歯科用レジンとワイヤーで作られています。どちらも食事や歯磨きの際に取り外すことができ、清潔な状態を保ちやすいのが特徴です。しかし、特に矯正治療直後は歯が元の位置に戻りやすいため、1日20時間、食事や歯磨き以外の時間は必ず装着する必要があります。日中に外してしまうと、その間に歯が少しずつ動いてしまい、夜にリテーナーを装着しても元の位置に戻ることを繰り返すため、歯並びがなかなか安定せず、保定期間が延びてしまう可能性があります。必ず担当の歯医者さんの指示通りにリテーナーを使用しましょう。
リテーナーの装着期間
リテーナーの使用期間は、矯正治療にかかった期間とほぼ同じ長さが必要とされます。例えば、矯正治療に2年かかった場合、少なくとも同じくらいの期間リテーナーを装着する必要があります。部分矯正など短期間の治療を受けた場合でも、リテーナーの装着期間はそれ以上になることが多いです。最低でも2年間はしっかりとリテーナーを使用することが推奨されます。
保定期間後もリテーナーを続ける理由
矯正治療を終えたからといって、永久に美しい歯並びを維持できるわけではありません。例えば、事故で歯をぶつけたり、歯を支える歯ぐきや骨が弱くなることで、歯が動いてしまう可能性があります。これは、矯正治療を受けた人だけでなく、受けていない人にも起こり得ることです。そのため、保定期間が終了した後も、定期的にリテーナーを装着し続けることが望ましいです。日常生活の中で、歯は少しずつ動く傾向があるため、リテーナーの装着を続けることで、歯並びが再び乱れるのを防ぐことができます。
矯正治療後のリテーナー装着は、歯並びを長期間維持するための大切なステップです。継続的な使用と適切なケアを怠らず、美しい歯並びをしっかりと守りましょう。
リテーナーの役割について
矯正治療には、大きく分けて二つの段階があります。歯を積極的に動かす「動的矯正治療期間」と、動かした歯を安定させるための「保定期間」です。動的矯正治療期間は、ワイヤーやマウスピースを用いて歯を理想の位置に移動させる段階を指します。一方、保定期間は、矯正装置を取り外した後、歯が元の位置に戻らないように安定させ、歯並びや噛み合わせを維持するための重要な期間です。
特に、歯の移動が終わった直後は、歯ぐきや周囲の組織がまだ安定しておらず、歯は元の位置に戻ろうとする力を強く受けます。また、骨も完全には固まっていないため、保定期間の初期が最も大切な時期となります。この時期にしっかりとリテーナーを装着することが、後戻りを防ぎ、安定した歯並びを保つための鍵です。
さらに、舌の癖やその他の習慣的な行動(習癖)がある場合、矯正治療によって歯並びや噛み合わせを整えても、これらの癖が残っていると後戻りが生じやすくなります。このような場合は、リテーナーを使用しつつ、癖を改善するためのトレーニングも併せて行うことが推奨されます。
リテーナーは歯を移動させる力を持っているわけではありませんが、整った歯並びを維持し、歯が元の位置に戻らないようにする役割を果たします。せっかく時間と労力をかけて手に入れた美しい歯並びを守るためにも、リテーナーの装着は絶対に怠らないようにしましょう。後戻りして後悔することがないよう、日々のケアを大切に続けることが重要です。
では、リテーナーをしなかったり、していても途中でやめてしまったら、どうなるのでしょうか?
リテーナーをしなかったり、していても途中でやめてしまうとどうなる?
リテーナーの最大の役割は、矯正治療によって整えた歯並びが元の状態に戻ってしまう「後戻り」を防ぐことです。
そのため、リテーナーの装着を怠ると、後戻りが起こるだけでなく、美しく整った歯並びにさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。さらに、保定期間中の通院回数が増える可能性もあるため、注意が必要です。
中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、以下のようなことを患者様にお伝えしています。
リテーナーの装着をやめたりすことで、主に以下の3つのリスクが発生します。
1. 装着時に痛みを感じる
長期間リテーナーを使用しないと、歯がわずかに動いてしまいます。再びリテーナーを装着した際に、歯が正しい位置に戻ろうとするため、痛みや不快感を感じることがよくあります。この痛みは、矯正治療の初期段階に感じたものと似ており、サボればサボるほど強くなります。
2. リテーナーの調整が必要になる
歯が動いてしまうと、リテーナーが正しくフィットしなくなることがあります。この場合、リテーナー自体の調整が必要になり、歯科医院での追加の処置が必要になるかもしれません。リテーナーの再調整には時間と費用がかかるため、装着を怠ることで治療がさらに複雑化してしまいます。
3. 最悪再度の矯正が必要になる
リテーナーを長期間装着しないままでいると、歯が元の位置に戻り、歯並びが乱れてしまいます。この状態が進行すると、リテーナーでは歯を元に戻すことが難しくなり、再び矯正治療を受けなければならないケースもあります。再矯正は時間も費用もかかり、最初に行った治療が無駄になってしまう可能性があります。これは避けたいところですよね。
リテーナーの装着をやめてしまった場合の対処法
日々の忙しさや外出が続くと、ついリテーナーの装着を忘れてしまうこともあるかもしれません。かくいう、私も何度リテーナーを紛失してしまったことか。。。涙
しかし、リテーナーを頻繁に装着し忘れると、せっかく整えた歯並びが後戻りし、再び乱れてしまうリスクがあります。
もしリテーナーの装着をサボってしまった場合には、以下の2つの対策を試してみてください。
1. 少しの後戻りならそのままリテーナーを装着する
リテーナーを装着し忘れていても、すぐに歯が大きく動くわけではありません。後戻りが軽度の場合、リテーナーを再度装着することで歯並びが元に戻ることがあります。少しの違和感や軽い痛みを感じても、無理のない範囲で装着を続けることが大切です。
ただし、強い痛みを感じた場合は無理に装着せず、すぐに担当の歯医者さんに相談しましょう。
2. 歯科医院にて調整をおこなってもらう
リテーナーがどうしても合わない、痛みが続く、あるいは歯並びが大きく動いてしまったと感じる場合は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。歯科医がリテーナーの調整や、必要に応じて再作成することで、後戻りを最小限に抑えることができます。専門的な診察を受け、適切な対処法を確認することが、長期的な歯並びの安定に繋がります。
では、最後に正しいリテーナーの使い方についてお話しします
リテーナーの正しい使い方のポイント
リテーナーの使用期間は人それぞれ異なりますが、一般的には少なくとも矯正で動かした倍の年月くらいの装着が必要とされています。特に、歯が安定するまでの最初の半年から1年は、1日中正しくリテーナーを装着することが求められます。
基本的には、食事や歯磨きの時間を除いて、1日20時間以上装着することが理想です。歯ぐきや骨が安定してきて歯のぐらつきがなくなったら、夜間の就寝時のみの装着に移行し、さらに歯が安定してきたら、週に2~3日だけ装着するなど、段階的に使用時間を減らしていくのが一般的です。
もちろんつけたままの方が安定するのは間違いありません。
リテーナーのお手入れは、硬めのブラシと中性洗剤で丁寧に汚れを取り除きましょう。装着しない間は、必ず専用のケースに保管します。
荒い研磨剤の入った歯磨き粉を使用すると、含まれる研磨剤がリテーナーに微細な傷をつける可能性があり、これが細菌繁殖や悪臭、着色の原因となりますので避けてください。
また、リテーナーの素材は熱に弱いため、熱湯での消毒は避けましょう。変形してしまいます。もし細菌の繁殖や臭いが気になる場合は、矯正装置専用の洗浄剤を使うことをおすすめします。中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、お掃除に使う周辺材料に関してもご用意しております。
まとめ
今回は矯正治療後のリテーナーについて詳しく解説してみました。
最後のリテーナーの重要性を理解していただけましたでしょうか。
矯正治療では長期間にわたって装置を装着するため、治療が終わった際には解放感からついつい、リテーナーの装着を怠ってしまう方も多いかもしれません。
しかし、きれいに整えた歯並びを維持するためには、保定期間の過ごし方が非常に重要です。リテーナーをしっかり装着しないと、後戻りが進み、再治療が必要になることもありますので、大変だとは思いますが、日々のケアを怠らずリテーナーを着用するよう心がけましょう!!
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員