朝起きたときに顎が疲れていたり、慢性的な肩こりや頭痛に悩まされていたりしませんか?実はその原因、寝ている間の「歯ぎしり」や「食いしばり」にあるかもしれません。歯ぎしりは単に音がうるさいだけの問題ではなく、歯を失う大きな原因の一つです。当院では、口腔外科の知見から、大切な歯を守るための「力のコントロール」を重視しています。
歯にかかる負担は自分の体重以上?
寝ている間の歯ぎしりや食いしばりでは、自分の体重の数倍(ときには数百kg)もの力が歯や顎にかかると言われています。起きている時の食事とは比べものにならないほどの強い力が長時間加わり続けることで、以下のようなトラブルを引き起こします。
- 歯の摩耗と破折:歯がすり減って平らになったり、突然パカッと割れてしまったりすることがあります。
- 詰め物・被せ物の脱落:せっかく治療した詰め物が何度も外れる原因になります。
- 歯周病の悪化:強い力がかかることで歯を支える骨が吸収され、歯周病が急速に進行します。
マウスピース(ナイトガード)で歯と顎を守る
「歯ぎしりをやめよう」と意識しても、寝ている間の無意識な行動をコントロールするのは至難の業です。そこで、物理的に歯を守るために最も有効なのが「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースの使用です。
当院では、患者様一人ひとりの歯型に合わせた精密なマウスピースを作製しています。市販品とは異なり、以下のメリットがあります。
- 理想的な噛み合わせの再現:顎の関節が最もリラックスできる位置で調整するため、筋肉の緊張を和らげます。
- 高い耐久性とフィット感:違和感が少なく、寝ている間に外れてしまう心配もほとんどありません。
- 歯の摩耗防止:歯と歯が直接こすれ合うのを防ぎ、大切な天然歯をすり減りから守ります。
マウスピースを装着して寝るだけで、翌朝の顎の軽さや、長年悩んでいた肩こりが改善される方も多くいらっしゃいます。
日常生活で意識したいリラックス法
マウスピースによる保護と並行して取り組みたいのが、日中の「食いしばり」の自覚と改善です。実は、重い荷物を持つ時だけでなく、パソコン作業やスマートフォンの操作、あるいは家事に集中している時など、無意識に上下の歯を接触させている方が非常に多いのです。
これを防ぐためのポイントをご紹介します。
- 「歯を離す」意識を持つ:本来、何もしていない時の上下の歯は1〜3mmほど離れているのが正常です。机の目につく場所に「歯を離す」と書いた付箋を貼るなどして、気づくたびに力を抜く練習をしましょう。
- 顎の筋肉のマッサージ:耳の付け根の下あたりにある「咬筋(こうきん)」が硬くなっていませんか?お風呂上がりなどに優しく円を描くようにほぐすことで、顎周りの緊張が和らぎます。
- ストレスの解消:歯ぎしりはストレスを解消するための生体反応という側面もあります。適度な運動や十分な睡眠を心がけ、体がリラックスできる時間を意識的に作りましょう。
歯が割れる前に。早めのチェックが将来の歯を守る
歯ぎしりや食いしばりの恐ろしい点は、自覚症状がないまま進行し、ある日突然「歯が割れる」「歯がグラグラする」といった深刻なトラブルとして現れることです。一度割れてしまった歯を元通りに治すことは難しく、最悪の場合は抜歯が必要になるケースも少なくありません。
当院の検診では、以下のような「歯ぎしりのサイン」を細かくチェックしています。
- 歯の表面のすり減り:エナメル質が削れて平らになっていないか。
- 頬の粘膜や舌の痕:歯を強く押し付けていることで、頬の内側に白い筋ができたり、舌の縁がギザギザになったりしていないか。
- 骨隆起(こつりゅうき):強い力に対抗しようとして、歯ぐきの骨がコブのように盛り上がっていないか。
これらのサインが見られる場合は、まだ痛みがなくても対策を始めるべきタイミングです。中目黒BIANCA歯科では、現在のダメージを正確に診断し、数十年後もご自身の歯で美味しく食事ができるよう、今できる最善の予防策を一緒に考えてまいります。
まとめ
歯ぎしりや食いしばりは、自分ではコントロールしにくいからこそ、適切な「対策」と「保護」が不可欠です。朝の顎の疲れや慢性的な肩こりを「体質だから」と諦めず、一度お口の中を詳しくチェックしてみませんか?
今回の内容を振り返ります。
- 強大な力の正体:寝ている間の歯ぎしりは、体重の数倍もの負荷を歯や顎の骨にかけ続けています。
- マウスピースの効果:ナイトガードを使用することで、歯の摩耗を防ぎ、顎関節の緊張を和らげることができます。
- 日中の意識付け:上下の歯を離す習慣やセルフマッサージで、筋肉のこわばりをリセットしましょう。
- 早期発見の重要性:歯が割れたり欠けたりする前に、歯科医院で「力のサイン」を診断してもらうことが大切です。
中目黒BIANCA歯科では、単に詰め物を治すだけでなく、その詰め物を壊してしまう「力の原因」から解決することを目指しています。大切な天然歯を長く守り続けるために、ぜひお気軽にご相談ください。
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員






