花粉症の薬と歯科治療について
こんにちは。
中目黒南口改札より徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です。
前回は金属アレルギーと歯科治療、特にデンタルインプラントとの関係についてお話しさせていただきました。
今回もアレルギー繋がりで、花粉症のお薬との関係についてお話しします。かくいう私も、花粉症には毎年とっても悩まされています。
その花粉症の治療の中「花粉症舌下免疫療法」というものがあり、近年アレルギーの治療が増えてきました。
しかし、この治療で使用する「シダキュア」というお薬が歯科治療を行う際、後述しますが、特に外科処置時に、重篤な副作用が引き起こされることがあるという報告がありました。
今回はその報告を含めて情報を発信したいと思います。
まずシダキュアとは
シダキュアは、一般的に皮膚科で処方されるスギ花粉症の治療に使用される薬で、スギ花粉を原料としたエキスから作られています。
少量のアレルゲンを摂取することで体を慣れさせ、スギ花粉によるアレルギー症状を軽減します。アレルギー症状がない時期でも、一度治療を開始すると、1~3年の間、毎日服用する必要があります。
シダキュアは舌下に置く錠剤で、すぐに溶けます。溶けた後、1分ほど舌の上に乗せたままにし、飲み込みます。
シダキュアの副作用
シダキュアには、次のような副作用が出ることがあると報告されています。
- 口の中のむくみ
- 口内炎
- 口腔内のかゆみ
- のどの刺激や痛み
これらの口腔内の副作用は、5%以上の頻度で発現することが報告されています。
歯科治療における注意点
歯科治療、特に抜歯などの外科処置を行う際には注意が必要です。傷口から薬の成分が体内に入ると、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。
アナフィラキシー症状には、皮膚のかゆみ、嘔吐や下痢、さらには重篤な場合、喉のむくみや気道の狭窄、呼吸困難、意識障害などが含まれます。特に奥歯の抜歯後に腫れが生じることが多いとされています。また、矯正器具が舌に当たって腫れたケースも報告されています。
シダキュアの使用ガイド(2021年版)には、「投与可否の判断が必要な場合」として「抜歯後や口腔内の術後、口内に傷や炎症があるとき」と明記されています。
お子様が服用している場合
シダキュアは5歳以上の子どもでも服用可能ですが、抜歯後のアナフィラキシー症状は、大人よりも子どもに多く発現するとされています。特に「抜歯後や口腔内に傷や炎症があるとき」は注意が必要です。
早い場合、4歳頃から歯の生え変わりが始まることがあります。シダキュアのガイドには「歯が生え変わる時期は、事前に医師に相談して対応を確認すると良い」と記載されています。
まとめ
海外の文献では、舌下免疫療法中の抜歯や口腔内の手術は禁忌とされていますが、実は国内外ともに明確なガイドラインはまだありません。
歯科治療を完了してからシダキュアの服用を開始することを推奨する医療機関もあります。
シダキュアを服用している方や予定している方は、歯科を受診する際に必ずそのことを伝えてください。安全に治療を進めるため、内科医と連携を取ることが求められる場合があります。状況によっては、服薬を一時中止することも検討されますので、どうぞご協力をお願いいたします。
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員