オーラルフレイル、口腔機能低下症について
こんにちは。
中目黒南口改札より徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です。
朝夜はめっきり冷えてきましたね。風邪をひかないように気をつけましょう。
さて、今回はオーラルフレイルのお話です。まず聞きなれない言葉ですよね。
ただ昨今は、このオーラルフレイルと口腔機能低下症がとても問題になっていきているのです。
最近、「食事中に飲み込みにくさを感じる」、「むせやすくなった」、「口の乾きが気になる」、「薬が飲みにくくなった」といったことはありませんか?
これらの症状がある場合、「オーラルフレイル」や「口腔機能低下症」の可能性があります。
今日は、その「オーラルフレイル」や「口腔機能低下症」についてお話ししたいと思います。
よろしくお願いします。
オーラルフレイルとは
「フレイル」とは、高齢になることで身体的・精神的な活力が衰え、社会とのつながりや認知機能、筋力などが低下した状態を指す言葉です。
その中でも「オーラルフレイル」とは、食べる、噛む、話すといった口腔の機能が徐々に低下していく状態を指します。口腔機能の衰えが進むと、発音が不明瞭になったり、食べ物を上手に噛めなくなったりすることで、日常生活にも影響を与えます。
特に、噛む力や飲み込む力が弱まることで、食事をする際に困難を感じたり、会話がしにくくなることがあります。このような状態になると、人とのコミュニケーションや社会的な活動が減少し、さらに口の筋力が衰えるという悪循環に陥ることが多いです。
オーラルフレイルは、単に口腔の問題にとどまらず、全身のフレイル(虚弱)の初期兆候と考えられています。つまり、オーラルフレイルは老化の一部であり、これを放置すると、全身の健康に影響を及ぼし、身体的・社会的な機能の低下が加速します。
オーラルフレイルが進行すると「口腔機能低下症」という病気に移行します。この段階では、さらに口腔機能が著しく低下し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。例えば、誤嚥(ごえん:飲食物が誤って気道に入ること)のリスクが増加し、肺炎などの重大な健康問題につながる可能性があります。以下でまた詳しく説明しますが、オーラルフレイルを早期に発見し、適切なケアやトレーニングを行うことが重要です。例えば、口腔体操や噛む力を鍛える食事、定期的な歯科検診がオーラルフレイルの予防に効果的です。口腔機能を保つことは、全身の健康維持にもつながり、より良い生活の質を保つための重要な要素とされています。
では、オーラルフレイルから進行した口腔機能低下症とはなんでしょうか。
口腔機能低下症とは
上記でも軽くふれましたが、口腔機能低下症は、主に加齢が原因です。オーラルフレイルが進行していくと口腔機能低下症につながるのですが、症状として、さまざまな要因によって口腔内の機能が低下していく疾患です。
主な症状
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口腔内の不衛生(口腔不潔)
口の中に細菌が多く存在する状態です。これにより、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。 -
口の中が乾く(口腔乾燥)
唾液の分泌が減少すると、唾液の自浄作用や殺菌作用が弱まり、口腔内の汚れや細菌が増えやすくなります。 -
むせやすくなる(嚥下機能低下)
加齢に伴い、飲み込む際に使う筋肉が弱くなると、飲み込み動作がスムーズに行えなくなり、むせやすくなります。 -
噛み切れなくなる(咬合力低下)
加齢だけでなく、歯周病や虫歯により歯を失うことで、噛む力が弱まることがあります。 -
食べこぼしが増えたり、話しづらく感じる(舌口唇運動機能低下)
唇や舌を動かす筋肉が衰えると、口が閉じにくくなり、食べこぼしが増えるなどの症状が現れます。 -
食べ物や薬が飲み込みにくくなる(低舌圧)
舌が上顎に押し付ける力(舌圧)が弱くなると、食べ物や薬を飲み込むのが困難になります。 -
食べ物が噛みにくくなる(咀嚼機能低下)
口の開け閉めや噛む動作を行う筋肉が衰えると、硬いものを噛むのが難しくなります。
これらの7つの症状のうち、3つ以上が当てはまる場合、実際口腔機能低下症と診断されます。
実際には以下の検査で診断を行います。
検査方法
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口腔不潔
舌に付着する汚れ(舌苔)を確認し、口腔内の衛生状態を評価します。 -
口腔乾燥
口腔水分計を使用して口腔内の水分量を測定します。別の方法として、乾燥したガーゼを2分間噛み、唾液を吸わせて重量を計測する方法もあります。 -
嚥下機能低下
嚥下機能の低下は、反復唾液嚥下テストや頚部聴診法といったスクリーニングテストで評価されます。必要に応じて、嚥下造影検査や内視鏡検査などの精密検査を行います。 -
咬合力低下
噛む力やバランスを評価する検査キットを使ったり、残存している歯の数を確認して評価します。 -
舌口唇運動機能低下
「パ」「タ」「カ」という単音を10秒間にできるだけ早く発音させ、その回数を測定するオーラルディアドコキネシスという方法で評価します。 -
低舌圧
専用の機器を用いて、最大舌圧を計測します。 -
咀嚼機能低下
グミゼリーを噛んだ後、水を含んで吐き出し、その水に含まれるグルコース濃度を測定して咀嚼機能を評価します。グミゼリーの細かくなった程度を見て評価する方法もあります。
これらの検査を通じて、口腔機能の低下を総合的に診断し、適切な対応が求められます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は昨今問題のオーラルフレイルについてお話ししました。例えば、もし全身疾患などの理由からご自身でうまく歯ブラシができなくなり、口腔衛生が不十分になるとします。そこに嚥下機能が低下し、むせることが多くなってしまった方というのは、誤嚥性肺炎のリスクがかなりあがります。また、咬合力が低下した場合、食べられる食品が偏ってしまい、栄養不足につながり、それが全身の筋力低下を引き起こすことにも繋がります。
さらに、口唇や舌の機能が衰えると、話すことが難しくなり、人との会話や友人と会うことを避けるようになってしまうことがあり、その結果、外出や社会活動の機会が減り、社会性の低下を招くこともあります。
このように、口腔機能の低下は身体全体に大きな影響を及ぼします。そのため、口腔機能の衰えは老化の初期サインと考えられています。
しかし、こうした症状があっても解決法がありますのでご安心ください。生活習慣の改善や適切なトレーニングを行うことで、少しずつ改善することが可能です。次回以降でまた詳しく説明いたします。
歯科治療なら東京都目黒区の中目黒BIANCA歯科矯正歯科へ
今回はオーラルフレイルについてお話しいたしました。
中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、多くの患者様の歯科治療を行なっております。
現在のお口の中の悩みやセカンドオピニオンも承っておりますので、歯のお悩みを抱えている方は中目黒BIANCA歯科矯正歯科まで
お気軽にご連絡くださいませ。
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〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-1-2中目黒GTハイツ2F B2-2
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員