妊婦さんとお口の中の関係

中目黒徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です。

外はますます寒くなり、気づけば今年も残りわずか！最後まで駆け抜けます！

さて、今回はご妊婦さんについてのコラムになります。

妊婦さんとお口の中の関係を話しますね。

まず妊娠中のつわりについて

妊娠初期から始まるつわりは、症状の有無や程度が人それぞれ異なります。全く感じない方もいれば、水すら受け付けないほど重い方もいます。

また、つわりの症状が出るタイミングも人によって異なり、

• 「特定の臭いをかぐと気分が悪くなる」
• 「満腹だと気持ち悪くなる」
• 「空腹だと気持ち悪くなる」

など、様々なパターンがあります。

つわりの期間を少しでも快適に過ごすために、皆さんそれぞれ工夫をされているかと思いますが、以下のような状況に悩まれる方も多いです。

• 吐き気で歯磨きが困難になる
• 空腹や満腹で気分が悪くなるため、少量ずつ頻繁に食べるようにしている
• 特定の食品しか口にできない

それでも体調が優れず、嘔吐してしまう方も少なくありません。

このようなつわり中の状態は、口腔内が虫歯菌や歯周病菌にとって好ましい環境となりやすいと言われています。

妊娠中のつわりとお口の健康

妊娠中のつわりによって、歯磨きが難しくなることや食事の習慣が変わることで、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。また、妊娠中のホルモンの変化もお口の環境に影響を与えます。それぞれの影響と対策について、以下でわかりやすく説明します。

1. 歯磨きができない場合

吐き気のために歯磨きができないと、プラーク（歯垢）が残り、虫歯や歯周病のリスクが上がります。体調が良いときにしっかり磨くことを心がけましょう。
工夫ポイント:

• 子供用の小さい歯ブラシを使うと、不快感が軽減される場合があります。

2. ダラダラ食べる習慣

つわり中は空腹や満腹で気持ち悪くなるため、少量ずつ食べ続ける方が多いですが、食事のたびに口の中が酸性になり、歯が溶けやすい「脱灰」が進みます。

以前ステファンカーブについてのブログも書いているので参考にされてください。
対策:

• 食事後は可能な限り歯を磨きましょう。
• 難しい場合は、口をしっかりゆすぐだけでも効果があります。

3. 嘔吐を繰り返す場合

嘔吐により胃酸が口内に広がり、口の中が酸性に傾きます。この状態が続くと歯が弱くなります。
対策:

• 嘔吐後にすぐ歯磨きするのは難しい場合、口を水やうがい薬でよくゆすぐだけでも効果的です。
• 無理のない範囲でケアを行いましょう。

4. ホルモンの変化による影響

妊娠中は女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」が増加し、これが歯周病を悪化させる要因となります。

エストロゲンの影響:

• 歯周病菌が増殖しやすくなります。

プロゲステロンの影響:

• 炎症を引き起こす「プロスタグランジン」という物質が増加し、歯茎の腫れや痛みが起こりやすくなります。
• 妊娠中期から後期にプロゲステロンが急増し、（妊娠性）歯肉炎のリスクが高まります。

ポイント:
お口が清潔でプラークが少ない状態であれば、炎症は軽度で済むことが多いです。

5. 歯周病と早産・低出生体重児のリスク

歯周病が進行すると、早産や低出生体重児のリスクが高まることがわかっています。中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、歯周病治療に力をいれており、このリスクはタバコやアルコール、高齢出産よりも大きく、健康なお口を保つことが重要です。

プロスタグランジンの役割:

• 歯周病の悪化によりプロスタグランジンが増え、子宮の筋肉を収縮させることで早産を引き起こす可能性があります。
• 血液に乗った歯周病菌が子宮や胎盤に感染し、赤ちゃんの成長不足を招く恐れもあります。

注意点:
歯周病がある場合、早産のリスクは健康な方に比べて5～7倍とされています。定期的な歯科検診や適切なケアがとても大切です。

妊娠中のケアのポイント

• 体調が良いときに歯を磨く。
• 無理な場合は、うがいなどで口内を清潔に保つ。
• 歯科医に相談し、適切なケアを受ける。

妊娠中のお口の健康を守ることは、お母さんだけでなく赤ちゃんの健康にもつながります。できる範囲でケアを続けていきましょう。