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笑顔に自信を持ちたい方へ
「審美歯科」という言葉を聞くと、「歯を白くする」「見た目をきれいにする」といったイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。確かに、審美歯科の目的の一つは、美しく整った口元を実現することです。しかし、審美歯科の役割は単に見た目を良くすることだけにとどまりません。
一般歯科が「病気の治療」や「機能の回復」を主眼としているのに対し、審美歯科は見た目の美しさに加え、長期的な「機能の維持」や「快適な噛み合わせ」、さらには患者様の「心の健康」にも深く関わる分野です。
例えば、虫歯を治す際、一般歯科では保険適用内の金属の詰め物を選ぶことが多いかもしれません。一方、審美歯科では、天然の歯の色に近いセラミック素材を選択することで、見た目の美しさと、金属アレルギーのリスクを避けるといった身体への優しさを両立させることができます。
忙しい現代人だからこそ、次から急に虫歯や歯周病で駆け込むことのない口腔内にしていきませんか。 審美歯科の治療は、短期的な治療ではなく、長期的に健康を維持するための「予防的な投資」となるのです。
この記事では、審美歯科と一般歯科がそれぞれどのような役割を果たし、どのような違いがあるのかを、中目黒BIANCA歯科の院長としてお伝えします。「自分の歯並びや色にコンプレックスがある」「より美しく健康的な口元を目指したい」とお考えの方にとって、最良の選択肢を見つけるための羅針盤となれば幸いです。
審美歯科とは
審美歯科(しんびしか)とは、歯や口元の「美しさ」と「機能性」の両方を追求し、バランスの取れた口元を作り上げることを目的とした総合的な歯科医療分野です。単に虫歯や歯周病などの病気を治療する一般歯科の領域を超え、歯の色、形、歯並び、そして歯ぐきとのバランスなど、口元全体の見た目を改善することに重点を置きます。
多くの場合、歯の詰め物や被せ物に、保険診療では扱うことのできないセラミックやジルコニアといった、天然の歯に近い色調と高い耐久性を持つ素材を使用します。これにより、治療跡が目立たず、まるでご自身の歯のように自然で美しい仕上がりを実現します。さらに、これらの素材は金属を使用しないため、金属アレルギーのリスクを低減できるという健康面での大きなメリットもあります。
また、審美歯科は単発の治療で終わるのではなく、口元全体のバランスを考慮した計画的な治療を特徴とします。例えば、ホワイトニングで歯の色調を整えた後に、欠けた部分をラミネートベニアで修復するなど、複数の治療法を組み合わせて、患者様一人ひとりの理想とする口元へと導きます。見た目を改善することで、人前で話すことや笑うことへの自信を取り戻し、ひいてはQOL(生活の質)の向上に貢献することも、審美歯科の重要な役割なのです。
審美歯科と一般歯科の違い
審美歯科と一般歯科の最も大きな違いは、治療の「目的」と「使用する素材」にあります。
一般歯科の主な目的は、虫歯や歯周病といった疾患を治療し、歯の機能を最低限回復させることにあります。具体的には、「噛む」という生理機能を維持することが最優先され、治療に際しては、国の定める健康保険制度が適用される範囲内の治療法や素材(主に銀歯やレジンなど)が選択されます。これにより、費用負担を抑えた治療を受けることが可能です。
一方で、審美歯科の目的は、機能の回復に加えて「美しさの追求」と「長期的な健康の維持」にあります。治療のゴールは単に病気を治すことではなく、天然歯と見間違うほどの自然な見た目と、長期にわたり安定した噛み合わせ、そして口腔内全体の調和を目指します。この目的を達成するため、治療には保険適用外(自費診療)の、高品質で生体親和性の高い素材が用いられます。
なぜ保険の白い詰め物(レジン)ではなくセラミックなのか?
「保険でも白い詰め物(レジン)で治せるのでは?」とお考えになる方もいるでしょう。確かに保険適用で白い素材を選択できるケースは増えましたが、セラミックにはレジンにはない長期的なメリットがあります。
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比較項目 |
セラミック(自費診療) |
レジン(保険診療) |
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見た目・色調 |
天然歯に近く、長期的に変色しない |
経年により変色しやすく、透明感が劣る |
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耐久性・強度 |
非常に高く、ほとんど摩耗しない |
比較的低く、欠けやすい、摩耗しやすい |
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適合性(精度) |
非常に精密で、歯との隙間ができにくい |
歯との境目に隙間ができやすい |
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二次う蝕のリスク |
極めて低い(精密なため細菌が入りにくい) |
高い(経年劣化や隙間から細菌が入りやすい) |
特に注目すべきは、二次う蝕(治療した部分から再び虫歯になること)のリスクです。セラミックは非常に精密に作製・装着されるため、歯と修復物の間に細菌が入り込む隙間ができにくく、長期的に見て虫歯の再発を防ぐ大きなメリットがあります。一方、保険のレジンは経年劣化や摩耗により歯との境目が浮き、そこから細菌が侵入しやすいため、二次う蝕のリスクが高まります。
この違いを理解することが、ご自身の希望に合った歯科治療を選択する上で非常に重要となります。
審美歯科で行う治療
審美歯科で行われる治療は多岐にわたり、患者様の抱える悩みや、実現したい口元のイメージに応じて、最適な方法が選択されます。単に歯の見た目を変えるだけでなく、噛み合わせや機能面も考慮し、総合的な美しさと健康を目指すのが特徴です。ここでは、中目黒BIANCA歯科で主に行われる代表的な審美歯科治療についてご紹介します。
- セラミック治療(クラウン・インレー・ラミネートベニア)
- クラウン(被せ物): 虫歯などで歯の大部分を失った場合に、歯全体を覆う被せ物です。天然歯と見分けがつかないオールセラミックや、強度に優れたジルコニアセラミックなど、多様な素材から選択でき、色や形、歯並びの改善にも応用されます。
- インレー(詰め物): 比較的軽度の虫歯治療などで、歯の一部を削った部分に詰める治療です。銀歯の代わりにセラミックを用いることで、治療跡が目立たず、二次的な虫歯(二次う蝕)のリスクも軽減できます。
- ラミネートベニア: 歯の表面をわずかに削り、薄いセラミックのシェル(つけ爪のようなもの)を貼り付ける治療です。歯の色や形、わずかなすきっ歯などを短期間で改善したい場合に有効です。
- ホワイトニング
- 薬剤を用いて歯を削ることなく白くする治療です。歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、ご自宅でマウスピースと薬剤を使って行うホームホワイトニングがあり、組み合わせて行うデュアルホワイトニングもあります。
これらの治療は、全て保険適用外の自費診療となりますが、その分、使用できる素材の選択肢が広がり、精密な治療技術と時間をかけることで、長期的に高い審美性と機能性を維持できるという大きな利点があります。
審美歯科で治療を受けるメリット・デメリット
審美歯科治療は、患者様の口元と生活の質(QOL)に大きな変化をもたらしますが、保険診療とは異なる側面を持つため、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが重要です。治療を検討されている方が、納得して最良の選択をするための一助として、それぞれの側面を明確にお伝えします。
メリット
- 審美性の劇的な向上: 天然歯と見分けがつかないほどの自然な白さや形を実現できます。見た目が整うことで、人前で自信を持って笑えるようになり、精神的な満足度が大きく高まります。
- 機能性と耐久性の向上: セラミックやジルコニアといった高品質な素材は、保険適用の素材に比べて耐久性が非常に高く、変色しにくいため、長期にわたって治療効果を維持できます。また、精密に製作されるため、適合性が良く、二次う蝕(二次的な虫歯)や歯周病のリスクを低減する効果も期待できます。
- 金属アレルギーのリスク回避: 保険診療で多用される金属(銀歯など)は、体質によっては金属アレルギーの原因となることがあります。審美歯科で用いられるセラミックなどはメタルフリー(金属不使用)であるため、アレルギーの心配がなく、身体に優しい選択肢となります。
- 清掃性の向上: 表面が滑らかで精密な仕上がりになるため、プラーク(歯垢)が付着しにくく、日常のブラッシングでの清掃性が向上し、口内環境の維持に役立ちます。
デメリット
- 費用負担が大きい: 審美歯科治療は、基本的に保険適用外の自費診療となるため、治療費は全額自己負担となり、一般歯科治療に比べて費用が高額になります。
- 治療期間が長くなることがある: 高い精度を追求するため、型取りや技工物の製作に時間を要します。また、複数の治療を組み合わせて行う場合は、全体の治療期間が長くなる傾向があります。
- 歯を削る必要がある場合がある: 特にクラウンやラミネートベニアといった治療では、歯の形を整えるために健康な歯を削る必要があります。一度削った歯は元に戻らないため、慎重な診断と治療計画が必要です。
まとめ
これまで、中目黒BIANCA歯科の院長として、審美歯科と一般歯科の違い、そして審美歯科で行う具体的な治療やそのメリット・デメリットについて詳しくお伝えしてきました。この知識が、皆様の歯科治療の選択において、明確な指針となることを願っております。
一般歯科が「病気の治療」と「最低限の機能回復」を目的とし、保険診療を中心に行われるのに対し、審美歯科は「美しさ」と「二次う蝕のリスクを抑えた長期的な機能維持」を目的とし、自費診療の高品質な素材を用いることで、患者様のQOL向上を目指すという点で大きく異なります。
歯の痛みや不調を取り除くことはもちろん重要ですが、「人前で口を開けるのが恥ずかしい」「銀歯が目立って気になる」「もっと白く美しい口元にしたい」といった、見た目に関するお悩みは、心の健康や自信にも深く関わってきます。審美歯科治療は、これらのコンプレックスを解消し、より豊かで活動的な人生を送るための長期的な健康への投資であると捉えることができます。
重要なのは、ご自身の歯の状態と、どのような口元になりたいかという「理想のゴール」を明確にすることです。審美歯科治療では、高度な技術と患者様一人ひとりに合わせた綿密な計画が必要となります。中目黒BIANCA歯科では、単に美しい歯を作るだけでなく、患者様の健康と笑顔を最優先に考え、最適な治療法をご提案いたします。美しい口元は、皆様の人生を豊かにする最高のアクセサリーです。
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員






