目次
開口について
こんにちは。
中目黒南口改札より徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です
前回まで、咬合不正について代表的な種類、上顎前突、下顎前突、叢生についてお話しさせていただきました。
今回は、最後の4回目として、開口について中心にお話させていただきます。
開口って何?
開咬(オープンバイト)とは、上の写真のように奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合わない状態を指します。
場合によっては、前歯だけでなく唇も常に開いたままになることがあります。この状態だと通常全ての歯がしっかり噛めていると仮定すると2割ほどしか咬んでいません。
以下のような症状が気になる方は、開咬の可能性があります。
- 常に口が開いている
- 前歯で物を噛み切るのが難しい
- 奥歯で最初から噛み始める
- サ行やラ行の発音がしづらい
原因はなんでしょうか。
原因
①遺伝的要因
遺伝により下顎の成長が不十分で、小さい頃に開咬が生じることがあります。また、骨格の問題として、下顎角(いわゆるエラ)の過剰な成長も、開咬の原因となることがあります。
②幼少期の悪習癖
幼少期に舌を歯の間に押し込む「舌突出癖」が開咬を引き起こすことがあります。これはモノを飲み込む時、実は舌は口蓋に押し付けてごっくんと飲み込むのですが、舌突出癖が残ったままだと、飲み込む際の舌が前にでます。これにより上と下の前歯の間が大きく、開いていきます。
また、指しゃぶりは上顎前突を引き起こすことが多いですが、開咬の原因となることもあります。
そしてさらに、頬杖を長期間続けると歯が徐々に動き、前歯が開く原因になることもあります。癖は大きく口腔内に影響することが多いのです。
③鼻炎などの鼻の疾患
鼻づまりなどで鼻呼吸がうまく行えず、口呼吸をする習慣になると、歯周囲の唇や口腔内の筋肉のバランスが崩れ、結果として開咬を引き起こすことがあります。歯医者さんと耳鼻科のお医者さんと協力することが求められます。
開口による影響
①顎関節への負担
歯で噛む力は顎、つまり顎関節が負担します。前歯で噛めず、奥歯に負担が集中するため、顎関節を痛めることがあります。
顎関節症になるリスクを高めます。
顎関節症についてのコラムはまた今後書いていきます。
②歯や歯周組織への影響
前歯をあまり使用しないことで奥歯にダイレクトに負担がかかることで歯がすり減り、しみたり、ひび割れたり、最悪の場合は破折することもあります。
歯肉は骨が吸収されることに伴い、痩せていくので、気がついたら昔より歯が長くなった気がするなど目に見える形ででてくることがあります。
③全身への影響
全身状態への影響として、咬合域(噛む場所)が少ないため、咀嚼が十分にできず、食べ物を細かく噛み砕けなくなることで飲み込みにくくなることがあります。それが嚥下障害です。さらに、消化を助ける咀嚼が不十分になるため、胃腸に負担がかかり胃腸障害を引き起こす場合があります。
④発音障害
開口の場合、上下の歯が開いていることで、特にサ行やタ行の発音がしづらくなります。発音障害は開口の大きな影響の一つです。
⑤虫歯や歯周病のリスク増加
唾液には虫歯や歯周病の様々な予防効果がありますが、口が常に開いていることで口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病にかかりやすくなってしまいます。
⑥全身疾患に罹患しやすくなる
口呼吸が続くと、風邪やインフルエンザなどの空気感染するウイルスにかかりやすくなります。病気になりやすくなってしまいます。
開口の治療法
やはり気なるのが治療法です。
子供の時に行う治療と大人の時に行う治療法では異なりますのでそれぞれ分けて解説していきます。
Ⅰ期治療(子供の時の治療)
①口腔筋機能療法(MFT)
歯並びには、上記しましたが、口周りの筋肉のバランスが大きく関係しています。舌突出癖や指しゃぶりなどは、この筋肉のバランスを崩す原因となります。口腔筋機能療法では、舌や唇、頬の筋肉をトレーニングし、口周りの筋肉の調和を整えます。これにより、舌や唇の正しい位置や動かし方、正しい呼吸を習得し、口腔機能を改善する効果が期待できる治療法です。詳しくは過去のブログにも記載しております。そちらも参考なさっていただけますと幸いです。
②口腔内装置による舌突出癖の改善
口腔筋機能療法で効果が見られない場合、タングガードやタングクリブなどの装置を使用して、舌突出癖を改善します。
③ワイヤー矯正
これらの方法で開咬が改善しない場合は、ワイヤー矯正による治療を行います。これは大人の治療と共通です。
Ⅱ機治療
ワイヤー矯正による治療を行う際には、抜歯が必要になることもあります。
ただし中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、非抜歯での仕上げが多いです。状態によって担当の歯医者さんと相談が必要になります。
骨格に問題がなく、歯の傾きだけを改善する軽度の開咬であれば、マウスピース矯正で治療が可能な場合もあります。
一方、骨格的な問題がある開咬の場合には、外科的手術が必要になることもあります。
まとめ
いかがでしょうか?
最後は、開口についてご説明いたしました。
開咬は見た目だけでなく、歯に大きな悪影響を与える噛み合わせです。
奥歯にだけ噛む力が集中するため、負担が大きくなり、歯が破折したり根が割れたりする原因となります。その結果、歯の寿命が短くなる可能性が高い噛み合わせです。
開咬は骨格的(遺伝的)な要因もありますが、多くは幼少期の悪習慣が原因です。もし小学生になっても指しゃぶりや爪を噛む癖が治らない場合は、一度矯正専門医に相談することをお勧めします。
中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、そういった歯のお悩みや矯正の相談を承っています。気になることや疑問点についてお気軽にご相談くださいませ。
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員