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上顎前突について
こんにちは。
中目黒南口改札より徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です
前回のコラムで理想的な嚙み合わせとはどの様な状態か、不正咬合によってどの様な状態が引き起こされるか、その影響を中心に書かせてもらいました。
今回から4回に分けて、咬合不正の種類とその特徴についてお話したいと思います。
第一回目は「上顎前突」いわゆる「出っ歯」についてお話します。
そもそも上顎前突とは
オーバージェット(上の前歯の先端と下の前歯の先端の間の隙間)が4mm以上あると、上顎前突と診断されることが多いです。
上顎前突の場合、前に突き出た歯が邪魔になり、唇を閉じにくくなることがあります。また、唇を閉じる際に意識的に力を入れないと唇が閉じられない、歯を隠せないということもあります。
次のような症状が見られる場合、出っ歯の可能性があります:
- 唇に力が入ることで、顎に梅干しのようなしわが寄る
- 口が開いていることが多い
- 口が開いている時間が長くなり、口腔内が乾きやすくなる
これらの症状が見られる場合は、上顎前突を疑ってみてください。
そして上顎前突にも種類があります。
上顎前突の種類
それは骨格の問題なのか、歯だけの問題なのかということです。
骨格性上顎前突
上顎の骨の過剰な成長、下顎の骨の不十分な成長(劣成長)によって上あご、下あごのバランスが崩れると骨格的な上顎前突になります。
歯性上顎前突
骨に異常はないのですが、口元ですでに上の前歯が唇側に飛び出ており、下の前歯が舌側に倒れることで出っ歯になります。
ではなぜそれが起きるのでしょうか。
上顎前突の原因
遺伝的要因
体全体の中で、口元の遺伝率は、かなり高いと言われています。骨の成長には、遺伝的要因が関係します。
お子様の場合では、親御さんの身長などを加味し、成長を予測しながら治療のタイミングを測ったり、計画に加えます。
指しゃぶり、おしゃぶり、唇・爪を噛む、舌で歯を押すなどの幼少期からの悪習癖
これらの悪習癖は歯を外側に広げるように、歯が前に出ていくような力が加わっています。
たとえ弱い力でも、持続的に長期間かかることで、実は、歯が唇側に広がったり上あごの過剰な成長へとつながります。
お子様の場合なら、ある程度の年齢でやめさせていく指導も必要になることがあります。
口呼吸
もともと鼻が詰まっているなどの原因があり、鼻呼吸ができない場合
口呼吸によって口周囲の筋肉のバランスが崩れ上顎の骨が狭くなってしまいます。
また、口を閉じなくなることで唇からの力が抑ええられてしまい、同じように前歯が出てきやすくなります。
状況によっては耳鼻科の先生とチームを組むこともあります。
上顎前突による影響
① 発音の問題
唇を閉じて発音する必要があるマ行やパ行などの音が発音しにくく感じることがあります。
これにより、発音が不明瞭になり、コミュニケーションに支障が出ることも考えられます。
② 口腔内の乾燥
口が開いていることで口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の働きが十分に機能しなくなることがあります。その結果、歯周病や虫歯のリスクが高まる可能性があります。
③ 歯の損傷リスク
前歯が前に突出していると、転倒時などに前歯をぶつけて歯を折るリスクが高くなります。これにより、歯の健康や見た目に影響を及ぼす可能性があります。
④ 見た目のコンプレックス
このお話や相談はよくいただきます。前歯が出ていることが外見に影響し、口元にコンプレックスを抱くことがあります。見た目が気になることで、自己評価が低下することも考えられますが、治療によって改善することで自信を取り戻すことが可能です。
治療法について
こちらはⅠ期治療と呼ばれる小児の時に行うのか、Ⅱ期治療の大人での治療をおこなうのかにより方針がことなります。
Ⅰ期治療(子供の歯、もしくは大人の歯と混在の状態での治療)
種類の装置は様々ありますが、骨格性の上顎前突の場合、口腔外装置と呼ばれるものや上記の写真のようなバイオネーターとよばれるような装置で下の顎の骨の成長を促したり、上の顎の成長を抑える事で前突を治療します。
歯性の場合は、上顎前歯を内側に傾ける装置を使い治療を行います。
Ⅱ期治療(成人、大人の矯正)
顎の成長が完了しているため、ブラケットやワイヤーを使って歯を動かす治療が行われます。
中目黒BIANCA歯科矯正歯科では非抜歯と言われる歯を抜かずの矯正が多いですが、状況によっては歯のスペースを確保するために、前から4番目または5番目の歯を抜くこともあります。
さらに、骨格に大きな問題がある場合には、外科的処置が必要になることもあります。その場合は大学病院や市中病院の口腔外科と連携をとります。
まとめ
上顎前突は、転倒やスポーツ時に前歯をぶつけやすく、かけたり、折れてしまうことがあります。
歯が折れた場合、状況によっては最悪抜歯が必要になることもあります。
抜歯が避けられた場合でも、歯と骨が癒着することがあり、この癒着が起こると、その歯は矯正で動かせなくなってしまいます。
また、歯の根が骨に吸収されることもあり、吸収が始まるとその歯は抜歯が必要になることがあります。
矯正治療は見た目の改善だけでなく、将来的に起こり得る歯の問題を防ぐことにもつながり、多くのメリットがあります。
中目黒BIANCA歯科矯正歯科では、さまざまなオプションをご用意しております。
気になることや疑問点についてお気軽にご相談くださいませ。
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員