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金属アレルギーと矯正について
こんにちは。
中目黒南口改札より徒歩1分の歯医者・歯科「中目黒BIANCA歯科矯正歯科」院長の宍戸です。
金属のネックレスやピアスをつけたときにかゆみを感じたことがある方は、金属アレルギーの可能性があります。
そのため、「矯正治療を受けたいけれど、自分は金属アレルギーがあるので無理かもしれない」と不安に思っている方も少なくないと思います。
しかし、ご安心ください。
実際には金属アレルギーの方でも安心して受けられる矯正治療法があります。
特に、マウスピース矯正は金属を使用していないため、アレルギーの心配が少なく、安心して治療を進めることができます。
この記事では、金属アレルギーの方が矯正治療を受けられるかどうか、金属アレルギーの方に適した治療法、および治療中に発生する可能性のある金属アレルギーの症状について詳しく解説します。
今回のコラムは、金属アレルギーのある方や疑いのある方であっても安心して矯正治療を受けるための知識を得ていただくため解説させていただきます。
まず金属アレルギーを持っていても矯正はできるのか?
結論、金属アレルギーをお持ちの方でも、ほとんどの場合、矯正治療を受けることが可能です!
特におすすめの治療法がマウスピース矯正です。マウスピース矯正は金属を使用していないため、アレルギー反応が起こるリスクがなく、安心して治療を進めることができます。
また、ワイヤー矯正においても、金属アレルギーのリスクを軽減する方法があります。
例えば、チタン合金を使用したワイヤーやブラケット、セラミック製のブラケットを選ぶことで、アレルギーのリスクを減らすことができます。
ただし、チタン合金のワイヤーやブラケットは普及率が低いため、すべての歯科医院で提供されているわけではありません。
よってワイヤー矯正の場合は、リスクをまったくゼロにするというのは難しいというのはあります。
後ほどご説明いたします。
金属アレルギーの方にもおすすめできる矯正治療
金属アレルギーの方にも安心して行ってもらえるものは次のものが考えられます。
1 マウスピース矯正
マウスピース矯正は、金属アレルギーの方に最適な矯正方法の一つです。
この治療法は、透明なマウスピースを歯に装着して歯並びを整えるもので、マウスピースには金属が含まれていないため、金属アレルギーによる症状が出る心配がありません。また金属ブラケットの代わりにアタッチメントと呼ばれる樹脂でできたものを歯につけて、より動きを調整しやすくできます。
ただしマウスピース矯正には複数のブランドがあり、ブランドごとに費用や治療の進め方が異なるため、自分に合ったものを比較検討することが重要です。
また、マウスピース矯正は透明な装置を使用するため、目立ちにくく、周囲の人に治療していることが気づかれにくいのというのも大きなメリットです。
接客業など、人前に出る機会が多い方や、治療を知られたくない方には特に向いています。
ただし、残念ながらマウスピース矯正ができないケースもあります。
例えば、歯が小さくてマウスピースがうまくフィットしない場合や、残っている歯が少ない場合、また顎変形症とよばれるの顎の骨の異常など複雑な症状を抱えている方は、この治療法が適さないことがあります。
そのような場合は、他の矯正方法を検討する必要があります。
また、マウスピース矯正を提供していない歯科医院もあるため、事前にリサーチしておくことをおすすめします。
中目黒BIANCA歯科矯正歯科ではマウスピース矯正を取り入れております。
2 ワイヤー矯正
ワイヤー矯正を行う場合、そのワイヤーやブラケットの素材によっては、金属アレルギーのリスクを軽減しながらワイヤー矯正を行うことが可能です。
ただし、ワイヤー矯正に使用されるワイヤーには必ず金属が含まれているため、その点には注意が必要です。
金属アレルギーをお持ちの方におすすめの方法の一つとして、チタン合金を使用したワイヤーやブラケットがあります。
チタン合金はアレルギーが全くないわけではありませんが、限りなく発症リスクが低いため、比較的安全に使用できます。
インプラントも同様です。
しかし、一般的なワイヤー矯正では、ステンレス合金、コバルト、クロム、ニッケルなどの金属を使用した従来のメタルブラケットが主に使用されています。
これらの金属は、金属アレルギーを引き起こしやすい傾向があります。
上記した通り、チタン合金を使用したワイヤーやブラケットは一部のメーカーでしか取り扱っておらず、普及率が低いため、これらの素材を使用した治療を行う歯科医院を見つけるのは難しいかもしれません。
また、セラミックブラケットを使用する方法もあります。
ただし、セラミックブラケットには残念ながら奥歯用がないため、奥歯にはメタルブラケットを装着する必要があります。
金属アレルギーがある場合、セラミックブラケットとチタン合金のブラケットを組み合わせて使用することが考えられます。
ワイヤー矯正を行う際には、どの金属に対してアレルギーがあるのかを事前に検査しておくことが重要です。
重度の方には、複数の金属にアレルギー反応を示す方もいらっしゃいます。
事前に十分なアレルギー検査を受けておかないと、対策が施された装置を使用しても金属アレルギーの症状が出る可能性があります。
すでに金属アレルギーをお持ちの方は、症状が出やすいため、心配な場合は事前に医師に相談することをおすすめします。
矯正治療で発症する可能性のある金属アレルギーの症状
金属アレルギーの方で矯正治療を行った場合、考えられる症状は以下のものになります。
1 全身性皮膚炎
矯正治療は口腔内で行うため、口周りやその中に症状が現れると考える方が多いかもしれません。
しかし実際には、口腔外に症状が現れるケースの方がほとんどです。
歯科金属アレルギーによって引き起こされる全身的な疾患として、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、湿疹、乾癬などが挙げられます。
口の中の銀歯などその金属が原因であるにもかかわらず、症状は主に口腔内ではなく、離れた部位の皮膚に現れることが多いのです。
このメカニズムは、口腔内の金属が口腔粘膜や消化管から吸収され、血流に乗って全身に運ばれるためと考えられています。
そして、到達した部位で汗などを通じて炎症反応が引き起こされるのです。なかなか興味深いですよね。
しかし実際には口腔内にでることもあります。
以下に説明します。
2 口腔粘膜疾患
1であげた通り歯科金属アレルギーは全身に症状が現れることが多いですが、もちろん口腔内にも症状が出ることがあります。
歯科金属アレルギーが原因とされる口内の疾患には、口内炎や口腔扁平苔癬と呼ばれるものがあります。
口腔扁平苔癬は、原因不明の慢性的な口腔粘膜の炎症性疾患で、治療せずに放置すると、5%程度の確率で癌化する可能性があると言われています。
原因は明確には解明されていませんが、遺伝的要因、免疫系の異常、歯科金属による接触性アレルギー、C型肝炎ウイルス感染、内分泌異常、精神的ストレスなどが関与しているといわれています。
矯正治療中は装置が粘膜に接触刺激し、口内炎ができることがよくありますが、口内炎や粘膜の違和感が長引く場合、臨床的には大体2週間〜1ヶ月以上経っても治らないなどは、担当医もしくは口腔外科医に相談することをおすすめします。
金属アレルギーの不安がある方はまずは皮膚科医に相談しましょう
治療中に金属アレルギーの症状が現れると、かゆみや痛みなどに悩まされ、仕事や家事に支障をきたすことがあります。安心して治療を受けるためにも、金属アレルギーが心配な方は、事前に皮膚科医に相談することをおすすめします。
歯科医院によって、使用する装置や治療方法はさまざまです。そのため、金属アレルギーが不安な方は、アレルギー症状が出ても対応できる治療方法が用意されているかを事前に確認する必要があります。
治療を始める前に、歯科医師と相談できるカウンセリングが行われることがほとんどです。この際、自分が金属アレルギーを持っていることを伝え、アレルギーに対応した治療方法があるかどうかを確認しましょう。
カウンセリングを通じて、「患者に寄り添う姿勢のある医師か」「医院の雰囲気が良いか」なども判断できるため、今後の治療をスムーズに進めるための重要な機会となります。カウンセリングを無料で提供している歯科医院も多いので、まずはお気軽に相談してみてください。もし不安に思われることがあれば他の歯科医院の意見を聞くことも重要です。
金属パッチテストを行う
今までネックレスやピアスなどでかゆみがでたなど金属アレルギーが気になる方には、金属パッチテストの受診をおすすめします。
金属パッチテストは、金属を含む試薬を皮膚に貼り付けて、アレルギー反応の有無を確認する検査です。
このテストを受けることで、どの金属に対してアレルギーがあるのかを把握することができます。アレルギーの詳細が分かれば、医師は「この装置ならアレルギー反応が起こりにくい」などと判断しやすくなるでしょう。
金属パッチテストは皮膚科で行われますので、歯科医院から提携先の皮膚科を紹介してもらうと良いでしょう。
金属アレルギーの方がワイヤー治療をうけるとしたら
➀金属アレルギーの特定
金属アレルギーを引き起こす金属は人それぞれ異なるため、まずはカウンセリングでどの金属にアレルギーがあるかを確認します。
患者様がご自覚されていない場合は、パッチテストを行って特定することになります。
➁アレルギー反応の出ない装置の選択
パッチテストの結果をもとに、アレルギー反応を引き起こさない装置を選びます。ただし、パッチテストで判明した金属を避けて装置を選んだとしても、必ずしもアレルギー反応を完全に防げるわけではありません。そのため、治療に使う装置を一定期間装着して、問題がないかどうかテストする場合もあります。
【注意】複数の金属にアレルギーがある、もしくは重度アレルギーがある場合、ワイヤー矯正以外を検討
複数の金属にアレルギーがある患者さんや重度アレルギーがある場合、アレルギー反応を引き起こさない装置を選ぶのが難しく、ワイヤー矯正が困難になることがあります。無理にワイヤー矯正を行うと健康に悪影響を及ぼすリスクがあるため、マウスピース矯正を検討することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
金属アレルギーがある方でも、金属を使用しないマウスピース矯正を選ぶことで、ほとんどの場合問題なく治療が可能です。
金属アレルギーをお持ちの方がワイヤー矯正を行う際には、まずパッチテストでどの金属にアレルギー反応を起こすかを確認し、反応が出ない装置を選ぶ形で進めます。
ただし、複数の金属にアレルギー反応がある場合は、ワイヤー矯正が難しくなることがあるため、注意が必要です。
監修
院長 宍戸 孝太郎
資格・所属学会
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
- SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
- SAC講師
- club SBC
- 日本口腔インプラント学会認定医
- 日本口腔外科学会会員